デリケートな染料仕上げの羊革(ラムレザー)ジャケットについた雨シミ・水シミを取りたいのでその下調べ
※追記 DIYで洗濯した結果も最後に書きました
革に水シミができるメカニズム
水シミ・雨ジミができるメカニズムは…
1. 革が水に濡れる
2. 水が染み込む
3. 革内部の水分バランスが崩れ、濡れていない部分より、濡れた部分の色が濃くなる
4. 水分蒸発時に油分が一緒に飛び、色が変わる
参考サイト:https://leather-reform.com/blog/15775/
はえ~水分蒸発時に油分も一緒に飛ぶとは思わなかったわ
あと濡れたときに油分も水と一緒に革の繊維の中を移動して、革のオイル成分が不均一になってシミの輪郭になる、というのもありそう
ラムレザーの水シミの対策
上記サイトで紹介されている対策法は2つ
1.全体的に濡らしてシミを目立たなくする
2.濃い色で着色する
1は、
ガチで全部濡らすパターン(革ジャンとかは多分こっち)と、
シミになった部分の周囲だけ水ぶきするパターン(革小物、鞄など)がある
ラムレザージャケットの水シミ
ラムレザージャケットで水シミを目立たなくするならやっぱ1の全体を濡らすパターン。ついでに全体を洗っちゃえば汚れも取れて一石二鳥
なので大まかな流れとしては
水と洗剤を使って丸洗い
↓
乾燥
↓
メンテ
最終的に丸洗いするにしても、事前にしみ抜きでシミ部分が薄くなるならしておいたほうがいい。
なので最初はシミに対して水ぶき(水分油分の再移動)、アルコール(油分抜き取り)、中性洗剤とアルカリ性洗剤(油分と汚れの抜き取り)でシミ取りしてみる
が、その前に目立たい部分でラムレザーへの影響を確かめておく
使う洗剤
中性洗剤
普通は中性の洗剤。候補としては
・ドライニング
・普通のシャンプー
・各種レザーシャンプーやサドルソープ
アルカリ性の洗剤
襟まわりや袖周り(皮脂汚れ)、シミ周辺(油分由来による色変化)は液体石鹸などのアルカリ性洗剤で洗ったほうがスッキリ落ちそう
革にアルカリ性がダメな理由
が、革にアルカリ性は厳禁!みたいな記述もネットでは結構ある。理由を調べてみると
「ひび割れや色落ちが発生してしまう原因になる」
という理由かららしい
→ひび割れはおそらく乾燥によるものだろうから洗濯の最後の仕上げ工程で潤い成分として油分を添加すれば大丈夫なのでは?
→色落ちも自分で補色すれば大丈夫
いちおう目立たない部分でアルカリ洗剤試してみて、乾燥と色落ちが許容範囲なら使う
仕上げ剤
普通の洗濯であれば柔軟剤を入れる最後の工程。羊革の場合はラノリン(羊の油)が1番いいと思う。羊の革に羊の油を足すというシンプルな考え。
ラノリンは水に溶けるから革に均一に吸収される=シミにならない…はずだろうし
革ジャン裏地のキュプラがラノリンの油分吸ってもええんか?って話になるけど、ユニクロの女性向けヒートテックだってアルガンオイル添加してるみたいだからたぶんセーフ(適当)
乾燥後の手入れ
・あて布アイロン低温でシワ伸ばし
・必要に応じて補色
※インナーに接するジャケット裏側はインナーへの色移り防止のため染色しない。もしくは樹脂系の皮革用コート剤などで色止めする…といった配慮が必要
染色はモウブレイまたは染料で検討
・必要がありそうならさらに油分添加。乾燥した革にラノリンはシミになりそう。アニリンカーフクリームがいいのでは
・拭き上げて余計な油分、補色成分を拭き取る
・一日程乾燥させて指で擦ってみて色落するかチェック。色落ち激しいなら色止め剤検討
防水スプレーいる?
防水スプレーは革への影響を考慮したうえで検討。ちなみにフッ素系とシリコン系だとフッ素系が効果高いらしい。
以下調べておく
防水スプレーがやがて効果がなくなるのは、成分が揮発して空気中に移動するからか?それとも成分は革に残留するのか?
残留するなら水ぶきで落ちる程度なのか?剥離させる必要があるくらいガンコなのか?
残留がしつこいなら2回め以降の洗濯→補色のときに補色の邪魔になるかもしれない
ただ染料仕上げのラムレザーは水に濡れたら即水吸収しちゃうくらいだから、汚れ防止のために多少革に悪影響でも使う方法で検討したほうがいいかも
洗った結果
・アルカリ性洗剤も使ってみたけど問題なし。スッキリした。水洗い事態も問題なし
・はっきりしたシミは完璧には落ちなかった。乾燥後にもう一度洗っても同様。ただし薄くはなる。ゆえに洗濯するメリットはある。
・仕上剤としてラノリン添加はおすすめできない。乾燥の段階で「ラノリンが多く残留する部位」と「そうでない部位」ができるようで、かなり薄いがグラデーション状のシミになる。油分は乾燥後にクリームなどで補給したほうがいい
・乾燥にはめっちゃ時間かかるw
ベランダの陰干しで4日くらいみといた方がいい
・最初は平干し、7割くらい乾いた段階でハンガーに吊るして乾かす
→これで乾いた時点でシワはあまりなく、アイロン使用後はシワは気にならないレベルまでなった
以上、羊革のレザージャケットなどの洗濯をDIYで考えてる人の何かしらの参考になれば幸いです…!
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