バーバリーという看板ブランドを失って以来赤字にあえぐ三陽商会。
三陽商会としては
- バーバリーというブランド名を使えなくなった途端服が売れなくなった
- 服の品質はバーバリーのブランド名を使ってるときとかわらない
- ゆえに商品品質に問題なく、ブランド力不足が問題
と考えているのかもしれませんが
実際のところバーバリーというブランド感でなんとなく品質がいいと思われてきたものが、冷静に同価格帯の他ブランドと比較するとそこまで品質はたかくない、と消費者に見抜かれてしまったのがココの服が売れず赤字になってる一因なんじゃないでしょうか
値段が高い割に言うほど質が高くない三陽商会
三陽商会のepoca uomoというブランドの服についてこちらの記事でレビューを書きましたが(→epoca uomo 評判)
同価格帯のライバルであろうオンワード樫山やエストネーションのセレオリの服のほうが作りがよくモノとしての良さは上だな、という評価です
同価格帯の他ブランドのジャケットの裏地がキュプラなのに対してepoca uomoはポリエステルだったり、ほかが本切羽なのに対して飾りボタンすらなかったり
三陽商会っていったらライセンス生産していたバーバリーのトレンチコートが評判高く、それゆえ期待してたんですが意外にも(?)同価格帯のオンワード樫山など比べると質が低い、もっと悪くいえば安っぽい作りなのは驚きでした
と感じました
実際に三陽商会の服を買って感じた正直な感想です。身銭を切ってるから多少の悪口は許してくれよな!
日本製の三陽商会のジャケットより中国製のオンワード樫山やエストネーション(セレオリ)のジャケットの方が高品質に感じたんですよね
なので「三陽商会は品質が高い」なんて声高らかに言うほどの強みは無いと思います
バーバリーは高品質という幻想
今まではバーバリーの服は品質が高いという共同の幻想というか共通認識が奇跡的にもバーバリーの服を持ってる人にも、持ってない人にも双方にあり、それゆえに実際の質がどうであれ
「バーバリーの服は質がいい(そしてお洒落)」
という既成事実が出来上がってたんじゃないでしょうか
これは
1万円札の製造原価は20円チョイなのになぜ1万円の価値をもつかといえば、国民も政府もみんなが一万円には一万円の価値があると信じているから
という貨幣経済の実態に少し似ています(大げさ)
三陽商会の強み
逆にいえばバーバリーをそういうブランドに育てた過去の三陽商会はすごい
「品質が高いものをより安く」
とかなら道理が単純明快で誰でも思いつきますが(実際にできるとは言ってないが)
「ユーザーもユーザーでない人にも価値が高いものと思ってもらう」
というのは、なんかこうフワッとしていて、一般的にはどうやればいいのかよくわからい価値の高め方だからです
とすれば三陽商会の強みは服の品質の高さではなく、ブランド力を高める能力であると言えます。ブランドユーザーにも、そうでないひとにも、広く価値があるものと認識される力です。嫌な言い方すれば実際の品質以上にものがいいと思わせる力
これは日本企業があまり得意でない部分と言われており、欧米のごく一部の企業、いわゆるハイブランドなどが得意とする部分です
もし三陽商会がバーバリー以外のブランドをバーバリー並に育て上げられたなら、それはハイブランドなどがもっている特殊能力を三陽商会が今でも持っていることになり、ものすごく強い競争力の源泉になり長期に渡り利益を生む源泉になり得ます
しかし三陽商会の最近の新ブランド(castとか)の迷走ぶりを見るに、価値の高め方がわからなくなってきてるか、あるいはもう今の時代にはバーバリー時代に通用した手法が通用しなくなっており、神通力は過去のものになってしまった、という印象です
一発逆転はない?
三陽商会はまだ数年間はもちこたえられるだけの体力はあるようなのでここからの一発逆転を期待したいところ
でも三陽商会が得意としていたであろう「ブランドの価値を高める」というのは一発逆転とは対極にある長期的目線の戦略ですから、現実的に考えてここから一発逆転というのは厳しそうです
より企業スケールを小さくして生き延びるか、あるいは身売して無形の資産(ブランドとか)を他社のもとで活かすか、というのが現実的な将来じゃないでしょうか
お詫び(?)
不本意ながら、なんだか三陽商会の服は質が悪い!とこき下ろしたような側面も見受けられる文章になってしまったかもしれません
普通に見れば三陽商会の服は上質な方だと思います。ただ定価を考えると高いかなぁ~っていう相対的なものです。ユルシテ…ユルシテ…
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